東電元社員 原発安全神話の舞台裏「告発」
聞きたかった元東電社員の蓮池 透さんの講演を聴いた。会場の埼玉会館小ホールはほぼ満員。鋭い風刺の効いたお話に時々笑いが起きるがみなさん真剣に聞き入る。
私が蓮池さんを知ったのは、北朝鮮による拉致被害家族連絡会(家族会)の事務局長に就任し、マスコミにしばしば登場したときからだ。私も当時、東電に在籍していたので「東電にもこうゆう方がいるのか」程度であった。
その後、「拉致被害者を見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)などの著書を出版。拉致問題は制裁一辺倒のやり方ではなく、対話外交で解決すべきと国と家族会を批判。袂を分かった。昨年、出版された「告発」(ビジネス社)は副題が~東京電力は万死に値する~とショッキング的だ。原子力エンジニアであった著者が渾身の告発をした書として話題を呼んだ。
昨日の講演もこの「告発」の内容に沿って90分間にわたって怒りを秘めながらも冷静に日本で原発を再稼働してはいけない三つの理由など具体例を示しながら分かりやすく語ってくれた。
三つの理由は
1.核のごみ(高レベル放射能廃棄物)の最終処分場がない
2.「世界で一番厳しい基準」は大嘘である
3.完全な避難計画などできない
すべて納得。日本、世界に原発は不要である。
◇原発安全神話の舞台裏を暴露!
1977年に東電入社。
2009年退職するまで一貫して原子力畑を歩んだ。当時の原子力所管通産省との折衝なども担当。通産省の担当はずぶの素人。東電が原子力「げ」の字から手取り足取りレクチャー。そういう東電社員もメーカーが頼り。安全審査はまさに「知らない人」と「分からない人」で行われていたという。しかし官僚は「たかり」だけは玄人。一流であった。寿司の差し入れ、タクシー券などの付け届けは日常茶飯事であった。
原子力安全委員会の安全審査書についても、原案は東電側が裏で作成し、確定後は東電が印刷や製本までしていたと語る。地元で開かれる公開ヒアリングでも裏方はすべて東電がしきっていたという。
私も東電にいたので東電の体質はよく理解できる。福島原発事故後も東電のこの体質はまったく変わっていない。東電は解体し、出直すしかない。