友人の田谷英浩さんが毎週1回執筆している「田谷コラム」。
今週は、映画「21世紀の資本」2019年 フランス/ニュージーランド の紹介です。
コラムを読んで私も観たくなりました。
本人の了解を得ましたで田谷コラムを転載します。
映画『21世紀の資本』2019年 フランス/ニュージーランド ジャステイン・ペンバートン
5年前の深夜、NHK教育テレビに『パリ白熱教室』という放映を心待ちするTV番組があった。
2013年に発表されたトマ・ピケテイ『21世紀の資本』を著者自らが大学で講義するもので、講義スタイルはマイケル・サンデルの『ハーバード白熱教室』の二番煎じにも思えたが、今度はれっきとした1時間43分の映画である。
・これからは、子供世代の66%が親世代より貧乏になる。
・1%の富裕層が70%の土地を独占している。
・富は受け継がれ、大きな資本ほど増殖する。
・資産の格差は世襲により固定化する。
・現代は第一次世界大戦前の不平等な時代に戻ってしまった。
新型コロナ騒動で日本経済の危機と格差の更なる広がりが心配される中、ピケテイ理論は刺激的である。
驚いたのは世代間を問わない観客層と数。受付嬢に聞くと、土日は特に学生が多いという。
今年のアカデミー賞で、格差社会を鮮やかに描いた韓国映画、『パラサイト 半地下の家族』が高い評価を受けたが、本作は、こんな格差は何故起こるのか?を過去の映像や写真、図解を多用してピケテイ理論を可視化した。
役者顔負けの顔立ちと表情、彼の説得力に行きすぎた資本主義社会の今日的問題点があぶりだされる。
外出が抑制され、映画館の閉館も囁かれる中、こんなとても観客を呼べそうにない題名の映画に、多くの人が集まるのはなぜか。
如何に格差社会の現実が厳しく、深刻であるかの証左でもあり、来るAI社会は何をもたらすかを考えようとする日本人の真面目な行動の一端でもありそうである。 (2020.4.14)
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