政府のコロナ対策について、たんぽぽ舎のメルマガに上岡直見さん〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕が以下の一文を載せているので紹介します。

政府が専門家会議の議事録等を公開せず、対策を検証する手段が限られている。
多方面からの様々な意見、提言に耳を傾けたい。

 「自粛競争」を煽って国民の暮らしを壊しただけ

 安倍首相は「コロナ緊急事態宣言」解除にあたって「日本モデルの成功」とアピールしたが、実際には行き当たりばったりで何もしていないではないか。

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 科学的な分析もなしに「日本スゴイ」的な精神論で満足していると、次の危機に対応できないから危険だという指摘がある。(※1)

 検査をしないから実態がわからない、実態がわからないから何の対策がどのくらい効果があったのかわからない。ただ「自粛競争」を煽って国民の暮らしを壊しただけだ。

「命令」でなければ補償なし 原発事故と同じ構図 

 欧米のような強制的な規制によらず「自粛」としたのは、何ら民主的な検討の結果ではない。「命令」にすると補償しなければならないが「自粛」なら当事者が自主的にやったことになるからである。

 これは福島第一原発事故と同じで「自主的に避難した人は救済の対象にしない」という姿勢と同じである。

 コロナを悪用して改憲に結びつける意図は、緊急時なら「命令」であっても補償しなくてよいという法的な根拠を作る裏もあるのだろう。


 国民の忍耐と創意工夫に感謝

 この数か月、医療現場の奮闘には本当に感謝しなければならない。しかし適切な対応をしていれば現場の負担をもっと軽くできたはずだ。雨の日も風の日も荷物を運ぶ宅配員にも感謝しなければならない。それに国民の忍耐と創意工夫だ。せいぜいアベノマスクを配ったくらいで政権の手柄にすり替えてはならない。 しかも「緊急事態宣言」を解除する時期になってもまだ大部分の国民には届いていない。

 不要不急は自分で決めよう

 厚生労働省は5月4日にコロナ対策の専門家会議の「提言」を受けて「新しい生活様式」と称する「実践例」をホームページで公開した。 食事は横並び、会話は控えて料理に集中などが例示されている。このような不自然なことが続けられるはずがない ある学者は「主役のはずの人間一人ひとりの行動や心理という視点がない」と指摘している。(※2)

 提言の意図は明らかだ。現実にできるはずのないことを故意に掲げて、何がどうなっても「国民の行動が不十分だった」という理由で済ませるためだ。「新しい生活様式」は無視して、不要不急は自分で決めよう。

 

(※1)窪田順生「[コロナ収束は日本人のマジメさや清潔さのお陰]という勘違いの恐ろしさ」   

『ダイヤモンドオンライン』2020年5月28

https://diamond.jp/articles/-/238555

 

(※2)「新しい生活様式、ヒトとして大丈夫?動物学者に聞いた」

    『朝日』ウェブ版2020年5月24

https://www.asahi.com/articles/ASN5Q6CRMN5CULZU02C.html